@ゲー単走部

ローグライク雑記。変愚蛮怒、DCSSなど。

DCSSの昔を振り返る

本記事は、「DCSSの昔を振り返る」と題したRoguelike Advent Calendar 2021 - Adventar12/13の記事です。

最近あまりDCSS(Dungeon Crawl Stone Soup)をプレイできておらず、最新バージョンについていけていない感がありますが、今までDCSSをプレイしてきて、どう更新がされてきたのか振り返ってみたいと思います。
DCSSは大変更新が激しいゲームであり、すべてについての説明は到底できませんし、筆者がプレイし始めたのはver0.13なので、それ以前の説明はできません。ご了承ください。

  • ver0.13

最もインパクトのあったのは、新種族Gargoyleの追加と言って満場一致ではないでしょうか。低HP種族というデメリットはあるものの、毒免疫・腐敗耐性、絶縁、耐負、苦痛耐性、特定のLvから飛行、LvアップによるAC上昇と、とんでもなく強い種族です。
AC上昇は、何の装備制限もないのに、Lv27で+20もブーストされ、とてつもなく硬くなります。
ちなみに、筆者が初めてDCSSを脱出したときの種族はGargoyle(15ルーン初脱出もGargoyle)であり、なかなか脱出できない初心者の方は、一度使ってみるといいのではないでしょうか。

  • ver0.14

このバージョンでも新種族が追加されました。Formicid(蟻)とVine Stalker(蔓生物)の2つです。
Formicidは常時停滞(加速・減速・麻痺の影響を受けない、teleport, blinkが不可)という緊急回避に難がある種族ではありますが、代わりに壁を掘ることができるほか、両手武器(弓、クロスボウを含む)と盾を両立することができるという反則的な種族特性を持っています。
スキル適性もよく、極めて強力な種族の一つです。
Vine StalkerはHPを薬やワンドで回復することができず、また低HP種族(-30%)というデメリットを持っていますが、代わりにHP自然回復量が高く、また、守護霊(被ダメをHP/MPに分割)がついています。殴りの際、確率で追加攻撃としてアンチマジックの牙が発動し、MPを回復できてしまいます。
要するにどういうことかというと、一見HPが少ないように見えるが、MPまで含めてHPとして計算できるので実際に低耐久というわけではなく、
殴りを続けることで、MPを回復できるので、実質的には吸血攻撃となっているという、完全なインチキの領域に踏み込んでいます。
しかも、追加攻撃のダメージがなかなか強烈なので、クイックブレードを持たせると何もかもを切り刻む恐ろしい植物が誕生してしまいます。

種族だけでなく、信仰も追加されたのがこのバージョンです。
暗殺指向のDithmenosが追加されています。パッシブとして隠密を強力にブーストし、Shadow mimicといって自分の影みたいなものが、自分の近接攻撃や遠距離攻撃を一定確率でまねてくれます。影が近接攻撃をまねることで敵が余所見判定となった場合、暗殺が容易になりますし、ここでいう遠距離攻撃は呪術も含みますので、魔法の眠りを影とあわせて合計2回発動できるのが非常に暗殺向きであることは容易にわかるでしょう。
(ただ、暗殺よりも水晶槍やトロルの大岩投擲を影に発動させるビルドの方が強い・・・)
また、祈祷としては、Shadow Stepで寝ている敵の目の前にジャンプできるほか、最終奥義Shadow Stepは非常に防御が優秀な形態で、透明になった上で苦痛免疫をつけ、ダメージ/被ダメージがともに半減されます。敵を倒さずにルーンやオーブを盗むプレイの際、非常に有用です。

新種族以外の変更としては、新呪文があります。純粋に追加されたもののほか、既存の呪文から入れ替わりとなったものもあります。
Ice StormがGlaciateに、Summon DragonがDragon's Callに変更となったほか、Summoning領域に多くのスペルが追加となりました。

  • ver0.15

最も大きな変更点として、アイテム重量とアイテム破壊の撤廃があります。
アイテム重量が撤廃されたことで大岩持ち放題、アイテム破壊がなくなったのでいちいち物資を床に置いたりしなくてよい、と、ゲームの遊び方が大きく変更となりました。
煩雑な部分が解消されたわけですが、重量も物資破壊もダンジョンに潜っているのだからあって当たり前だろというフレーバーでした。最近のDCSSはフレーバーを重視しない方向に大きく進化を遂げているのですが、その先駆けとなった変更といえるでしょう。

その他の変更で、特筆すべきは以下3点でしょうか。

1. 負のアンチクロストレーニングの撤廃
→ 従来は、例えば火のスキルを上げていると、反対の領域である氷のスキルには適性に負の補正がかかり、育てにくくなるといった、当たり前のフレーバーがありましたが、なぜか撤廃されてしまいました。

2.Statue FormのEV-10ペナルティ撤廃
→ 多分、「石像形態は減速ペナで十分弱いのでEVペナは要らないよね」みたいな、よくわからない理屈で撤廃された記憶があります。石像はありえないくらい強いのでEVペナはあって当然ですし、石像が俊敏に避けまくるのはどう考えてもおかしいので、その点からもEVペナはあってしかるべしと思うのですが、なぜかEVペナ撤廃。ゲームバランスが明らかに壊された変更の一つです。

3.遠距離武器のダメージ計算統合
従来、弓などの遠距離武器は近接武器と異なる計算でダメージ計算をしていましたが、統合されました。また、投擲がものすごく強化されたのも、このバージョンからだったと思います。
投擲がいかに強いかは、過去の記事で詳しく解説しています。
attogame-tansoubu.hatenablog.com

その他、新神Qazlalの追加など、様々追加点はありますが、解説は省きます。

  • ver0.16

数々の変更点はあるのですが、新スペルSingularityに尽きます。Translocation領域の奥義(Lv9魔法)としてこのバージョンで追加され、あまりにゲームバランスを破壊したため、次のver0.17で早くも削除されてしまったという伝説の呪文です。
これが印象に残りすぎて、逆に他に何が変わったか、はっきり言って全く思い出せないレベル。
効果は簡単に言うと、ブラックホールを発生させ、近くの敵に継続ダメージを与えるというもの。
ブラックホールは@の視界外にあっても敵に継続ダメージを与え、ブラックホールがあるうちは吸い込まれている敵はブラックホールの影響を受けてそこから動けないため、魔神クラスの敵すら視界外から封殺することができてしまった、恐ろしく業の深い呪文なのです。
削除やむなし。

その他、新信仰として、GozagとRuが追加されたのがこのバージョンです。

  • ver0.17

正直どんなバージョンだったっけ? とあまり記憶に残っていないバージョンです。0.16のマイナーチェンジといった印象ですね。
・・・どんな変更があったっけと見直してみると、jellyが一度@が見たアイテムを食べなくなったバージョンでした。かなり大事な変更ですね。
他の変更は、強いて言うならば、Enslavementの呪文や、ver0.16で追加されたShadow trapが削除されたことくらいでしょうか。

  • ver0.18

ver0.15で投擲が大きく強化されましたが、その調整が入ったのがこのバージョンです。通常の武器と同様の速度計算となりました。
大岩を例で説明すると、ver0.15ではスキル0でも1ターンで投げられ、スキルを育てることで最速0.5ターンに到達したのですが、
ver0.18からは、スキル0では2ターンかかり、スキル27で最速0.7ターンに到達する計算となりました。
大岩投擲は強すぎたのでやむを得ない変更と言えます。変更後でも十分すぎるほど強いですしね。
また、wandやamuletの種類に大きく変更が入ったのがこのバージョンであり、特にamulet of resist mutationが削除されたことにより、
後半の変異対策が難しくなりました。
このように、全体的に難易度がしょっぱくなった印象のバージョンです。

その他、発動の信仰としてPakellasが追加されたのですが、なぜか次のバージョンで早くも削除されてしまいました。
最終的に回復、テレポ、加速のワンドが使い放題となってしまうのが問題視されたのでしょうか。経緯は今となっては不明です。

  • ver0.19

非常に遊びやすく、一定完成されたバランスのバージョンと思っています。日本語版DCSSのバージョンもこれです。
長剣に反撃(Reposte)といった特性が追加されたのが最大の変更点でしょう。
長剣を装備していて敵の近接攻撃をEVで避けた際、確率でターンを消費せずに長剣で反撃するようになりました。
確率は当初50%でしたが、調整後(0.19内だったか以降のバージョンかは定かでない)33%となりました。
Chei信仰で長剣+石像など試してみるとなかなか面白いでしょう。

その他、Charm領域のHasteが削除され、jellyが一切アイテムを食わなくなったのがこのバージョンです。
新信仰としては、Uskayaw、Hepliaklqanaが追加されました。

  • ver0.20

最大の変更は、筆者としてはTombの難易度の上昇と考えているところです。
Tombは従来は階段プレイしているだけで容易に制圧できる分岐でしたが、このバージョンから、1F→2F、2F→3Fにおいて、下り階段で下りた位置に上り階段がない(少々離れたところにある)ように変更され、簡単にクリアさせてくれる分岐ではなくなりました。
Tombの難易度上昇の方向性はこの後のバージョンでも続いていくこととなります。

その他、特筆すべき変更としては、強力な種族Barachimの追加、種族High Elfの削除、Ogreのスキル適性の調整(いわゆるオーガメイジ型の適性に)、呪文Repel Missilesの削除といったところでしょうか。

  • ver0.21

DCSS最強種族の一つであるGnollが追加されたのがこのバージョンです。
Gnollは、スキル適性が+6や+8ばかりなど目を見張る成長速度ですが、代わりに一度にすべてのスキルしか鍛えられないという特性を持っています。
性質上、両手武器やLv9魔法を使いこなすのは難しいですが、それ以外の大抵のことは何でもこなせる非常に強力な種族です。
石鍋wikiにもオススメ記事を載せていますので、未プレイの方は是非お試しあれ。

その他、新信仰としてWJCが追加されています。

  • ver0.22

PlayerのGhostが、隔離された場所にしか出現しなくなり、非常につまらなくなりました。
従来は、探索中、いつどこでGhostに出会うかわからず、ヒヤヒヤしたものですが、このバージョンからは、Ghostを見かけても必ず隔離されており、自分からドアを開けない限りは襲われることはなくなりました。
なんでこんな変更をしてしまったんだろう・・・本当に謎です。

  • ver0.23

罠の仕様が変更され、ゲーム後半(特にZotとTomb)の難易度が大幅に上昇しました。
まず、従来と異なり、罠は完全に見えるようになりました。見えない罠を踏んで不快な思いをすることがなくなりめでたしめでたしと思いきや。
何と、見える罠とは別に、「探索をトリガーとする罠」が追加されました。探索していると一定の確率で罠を踏んでしまうというわけです。
その中身が強烈で、alarm, shaft, teleportの3種となっています。
この変更により、従来と比較して、突然alarmを踏む、突然下の階に落ちるといった不快な事象がしばしば発生することとなりました。
また、見える罠として、dispersal trapが追加されました。踏むと、@と視界内の敵が視界内のランダムな位置にブリンクします。
これが非常に強烈な罠であり、罠は敵が踏んでも発動してしまうことから、突然わけのわからない位置にブリンクさせられ、また敵が踏んで別の位置にブリンクさせられ、とお手玉状態となってしまいます。
特にTomb最下層との相性は最悪です。ただでさえ階段を下りたとき、上り階段は別の位置にあるわけです。必死に上り階段まで歩いても、マミーがdispersal trapを踏むだけで階段から引き離されます。歩かずにblink巻で上り階段まで一気に辿り着いたとしても、その瞬間マミーがdispersal trapを踏むだけで、階段から引き離されてしまいます。
否応なしに、階段プレイとの決別を要求しているわけです。
この変更により、Tombの難易度が15ルーンにふさわしい、恐ろしい難易度となってしまいました。筆者が最近あまり15ルーンをやらなくなった原因の一つがこれです。

  • ver0.24

VampireとSif Munaの変更が主な変更点です。
Vampireの仕様変更については、石鍋wikiに詳しく書いたことがあったので、それをぺたっと貼っておきます。(手抜き)
mars.kmc.gr.jp
Sif Munaについては、祈祷で信仰値を削り、スペルを失率0でキャストすることができるようになりました(その際のスペルパワーは祈祷スキルに依存)。
この変更により、例えば召喚魔法を一度も唱えたことがない(スキルも全く鍛えていない)キャラが、Dragon's Callを祈祷スキルだけで詠唱できたりと、非常にプレイの幅が広くなった印象です。

  • Ver0.25

火や氷領域の多くの魔法が変更されたバージョンです。

火領域→Lv1魔法がFoxFire(Flame Togueが削除)、Lv6魔法がStarbust(Bolt of Fireが削除)となりました。ついでにThrow Flameも削除されています。

氷領域→初期本だけでなく、Lv9魔法を含め、大幅に変更されました。Lv9魔法はAbsolute zeroに変更となりましたが、DCSSにおける伝説の魔法と考えています。何と効果は、射程内で最も近くにいる敵(複数いる場合はランダムに選択)を問答無用で即死させるというものです。TRJだろうがLom Lobonだろうが、お構いなしに即死させます。ひどい。
あまりの酷さに後のバージョンで削除されました。

なお、火や氷に限らず本バージョンでは多くの魔法が調整されました。RegenerationやDeflect Missilesといった有用なバフ魔法も削除されてしまいました。

  • Ver0.26

このあたりから変更をあまり追えていません。
筆者が認識できているのは、食料システムが完全に撤廃されたこと、Charm領域自体がなくなったこと、沼分岐に数多くの新敵が現れ、一気に難易度が上昇したことくらいです。
また、名物種族の一つであったCentaurが削除され、新種族に入れ替わりとなりましたが、プレイ経験がほとんどなく、どういった種族なのか理解できていません。

  • Ver0.27

現行安定バージョンです。HPとMPが共通で、完全にランダムで魔法を習得する(代わりに魔法書で魔法を習得できない)新種族Djinniが追加、その他新スペルも多々と、たいへん変更点が多いのですが、すべてを把握できていないのが実情です。


以上、簡単ではありますが、プレイし始めた0.13から現行安定バージョンの0.27までの歴史を振り返ってみました。

明日の記事は、chikatei氏の「ロストリンギル少佐はいかにして大佐に昇進したのか」です。